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石川県白山市の女性産婦人科医 いこまともみ です。
今回のブログでは、生まれたての赤ちゃんを取り巻く環境についてお話します。
90万人。
これは、世界中で生まれたその日に亡くなってしまう赤ちゃんの数です。
WHOの2022年の統計によると、新生児の死亡率が最も高い国は「レソト」というアフリカの国で、その死亡率は4.4%です。
次いで、パキスタンと南スーダンが同率で4%。
日本の新生児死亡率は0.1%未満で、世界で最も低いランクです。
エストニア、アイスランド、サンマリノ、シンガポールも日本と同様に0.1%未満です。
世界平均は1.7%ですので、日本はお産に関して世界で最も安全な国と言えるでしょう。
しかし新生児死亡率が世界一低い日本であったとしても、新生児が亡くなることはゼロではありません。
逆に言えば、0.1%以下の確率で亡くなる赤ちゃんがいるということです。
赤ちゃんが亡くなる原因は、生まれつきの病気の場合もありますし、ママからの産道感染による場合もありますが、元気に産声をあげたとしても、油断できないのが赤ちゃんです。
その大切な命の危険を教えてくれるのが、保育器モニターです。
新生児室で赤ちゃんが寝ているコットでは、赤ちゃんの呼吸状態や心拍を詳細に確認することはできません。
そのため当院では、どんなに元気な赤ちゃんでも誕生1日目は保育器の中でのケアをお勧めしています。
保育器は赤ちゃんに潜む危険をいち早く察知してくれるアイテムです。
必ずしも健康状態に不安がある赤ちゃんだけが入るものではありません。
保育器は元気な赤ちゃんであっても入った方がいいのです。
ちなみに後進国では保育器にはめったに入れません。それは高価だからです。
日本に生まれたからこそ、どんどん保育器を活用しましょう。
『新生児死亡率をゼロにしたい。』そんな思いで、当院では生後直後の保育器ケアを取り入れています。