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石川県白山市の女性産婦人科医 いこまともみ です。
今回は 妊婦中の旅行(マタ旅)についてお話ししたいと思います。
つわりが治まって安定期に入ると、旅行に行きたくなる妊婦さんも多いでしょう。
近頃は マタニティ旅 略して マタ旅 と呼ばれていますね。
マタ旅の時期としては、妊娠16~28週頃がおすすめです。
それ以降になりますと、お腹も大きくなり切迫早産になりやすいですし、36週以降はいつ陣痛が来てもおかしくないからです。
予定日よりも早く産まれることだって十分にあり得ます。
また、日本の大手航空会社では、妊娠さんの状況に応じて規定や必要書類の提出ルールが定められており、出産予定日の28日前から8日前までに飛行機へ搭乗する場合は、医師の診断書が必要になります。
さて、旅先はどこがよいでしょう。
医師の立場から言いますと、海外旅行はおすすめしません。
海外は医療制度が日本とは異なるため、万が一病院を受診することになった場合、高額な医療費を請求されるリスクがあることと、国によって医療レベルの違いが大きいからです。
国内旅行でも、病院がない離島やへき地は避けたほうが無難です。
では国内旅行に行くとして…どんな点に注意したらよいでしょう。
まず移動時間は、2~3時間程度までが理想的です。
移動手段は、マイカー、電車、飛行機のどれでも構いませんが、飛行機に長時間乗る場合は注意が必要です。
エコノミークラス症候群予防のため、着圧ソックスをはいたり、脱水にならないよう水を十分に補給したり、足をこまめに動かすなどの対策をしましょう。
エコノミークラス症候群は血管内に血栓が詰まる病気で、命の危険もある怖い病気です。
妊婦さんはエコノミークラス症候群になりやすいので、しっかり対策をしましょう。
また旅行中はトイレを気にしてあまり水分を取らない人も多いのですが、妊婦さんはしっかり水分を補給することも忘れずに。
院長おすすめの旅先を挙げるとしたら、温泉でしょうか。
ゆったりと温泉に入って、心身ともにリラックスできます。
ただし温泉場の風呂椅子は共同なので、トリコモナス原虫などがついていることがあります。
妊娠中にトリコモナスに感染すると早産リスクが高まりますので、風呂椅子に座るときは十分に洗ってから座りましょう。
あまり知られていませんが、旅先で触れてはいけない動物がいます。
オウム、インコ、ハト、ヤギ、ヒツジ、ウシです。
これらに触れて感染症を発症し、重篤化したという報告があります。
牧場や動物と触れ合える動物園などは、赤ちゃんが生まれてからの楽しみにしておきましょう!
安定期といっても妊娠中は何が起こるかわかりません。
予定を詰め込みすぎず、普段の旅行スケジュールの半分くらいにして、余裕をもった行動をしましょう。
また、旅先の産婦人科を事前に調べておくと安心です。
体調が急変して受診することになった場合に備えて、健康保険証と母子手帳は必ず持参して出かけましょうね。