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2023.03.08
BLOG
お産の歴史~平安時代~
石川県白山市の女性産婦人科医 いこまともみ です。
前回の縄文時代のお産のお話、とても好評だったので… 今回は平安時代のお産についてお話しします。
『医心方』は平安時代に日本人が書いた、日本最古の医学書とされています。その中にこんな一節があります。
「妊娠5か月、沐浴をし、からだが冷えないように衣類を厚くまとい、朝、日光にあたり外気を吸い、寒気を避け、稲、麦を食べ、牛や羊の肉のスープにぐみをいれて調味をしなさい。空腹もいけないが満腹も良くない。乾物は食べないように。またファイトを燃やしすぎて疲れることのないようにしなさい」
あれ?っと思いませんか? 1000年以上も前の医学書に、現代医学と通じることがすでに書かれているのです。
牛や羊のスープが良いのは、当時の貴重なタンパク源だったからでしょう。妊娠中は赤ちゃんの体をつくる素になるタンパク質を積極的に摂取した方が良いからです。
乾物を食べてはいけない理由は、当時の保存技術では、食中毒になる恐れがあったからだと思われます。
現代では保存技術も確立され、元の食材にもよりますが、乾物は水分が抜けて凝縮されるため、生の状態と同じ重量で比べるとビタミンやミネラルなどの栄養分が大幅に増加するので、積極的に食べると良いでしょう。