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2026.10.13 BLOG
妊娠中期の頭痛の原因と対処法|頭痛薬の注意点と受診の目安も解説

つわりが落ち着き、心身ともにようやく体調が安定してきたと感じる妊娠中期。

一安心したのも束の間、今度は継続する頭痛に悩まされ、戸惑ってしまう妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、妊娠中期に頭痛が起こる原因と具体的な対処法、頭痛薬を使用する際の注意点、そして早めに産院へ受診・連絡すべき症状の目安について分かりやすく解説します。

妊娠中期の頭痛の特徴

妊娠中期の頭痛は多くの妊婦さんが経験する症状の一つですが、その痛み方や原因にはいくつかのタイプが存在します。

まずは、頭痛の主な種類とその特徴について解説します。

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妊娠中期の頭痛はよくみられる症状

妊娠中期とは、医学的には妊娠14週0日から27週6日までの時期を指します(月数で数える場合は、妊娠5〜7か月頃とされることもあります)。

妊娠中期の頭痛自体は決して珍しいものではなく、つわりが落ち着いて食欲が戻る一方で、頭痛を感じるようになる妊婦さんも多く見られます。

妊娠中期にみられる頭痛は、主に以下のタイプに分けられます。

  • 緊張型頭痛首や肩の筋肉のこわばりが関係する、締めつけられるような頭痛
  • 片頭痛こめかみや目の奥がズキズキと脈打つように痛む頭痛
  • 妊娠高血圧症候群などによる頭痛血圧の上昇が関係して起こる頭痛(ほかの病気が原因となる場合もある)

緊張型頭痛と片頭痛の特徴の違い

妊娠中期に頻発する頭痛の多くは、「緊張型頭痛」または「片頭痛」です。

それぞれの特徴の違いは以下のとおりです。

項目緊張型頭痛Tension-type片頭痛Migraine
  • 痛む場所後頭部から首すじ、頭全体こめかみや目の奥(片側が多い)
  • 痛み方締めつけられるような重い痛みズキズキと脈打つような痛み
  • 伴いやすい症状肩こり、だるさ吐き気、光や音がつらく感じる
  • 痛みが出やすい・強まりやすい場面同じ姿勢が続いたとき、疲れたとき体を動かしたとき、入浴などで体が温まったとき

痛み方や持続時間には個人差があり、両方のタイプが組み合わさった頭痛を感じる方もいらっしゃいます。

そのため、頭痛のタイプが自分で判断できない場合や、痛みのために仕事や家事、睡眠などの日常生活に支障が出ている場合は、我慢せずに妊婦健診の際に医師や助産師へ相談してください。

妊娠中期に頭痛が起こる原因

妊娠中期の頭痛は、妊娠に伴う母体の内面的な変化と、日常の生活環境による身体的負担が重なり合うことで起こります。

ここでは、代表的な3つの原因をご紹介します。

ホルモンと自律神経の変化

妊娠が成立・継続すると、体内ではプロゲステロン(黄体ホルモン)をはじめとする女性ホルモンの分泌量が大幅に増加します。

これらのホルモンバランスの変動は自律神経の働きに影響を与えるため、血管の収縮と拡張の調整機能が不安定になり、頭痛を引き起こす原因となります。

また、出産や育児に対する潜在的な不安・生活リズムの変化に伴う心理的緊張・眠りの浅さなども、自律神経の乱れや頭痛に影響を及ぼす可能性があります。

姿勢の変化や生活習慣による筋肉の緊張

妊娠中期に入りお腹が徐々に大きくなると、身体の重心が前方へ移動します。

このとき、倒れないように無意識にバランスを取ろうとすることで、首・肩・背中の筋肉に大きな負担がかかってこわばりやすくなります。

筋肉の緊張状態が持続すると周囲の血流が滞り、頭部を締めつけるような「緊張型頭痛」を引き起こしやすくなります。

さらに、スマートフォンやパソコンの長時間使用による眼精疲労・睡眠不足・運動量の低下・空腹・水分不足なども、頭痛の発症を後押しする要因となります。

貧血や血圧の変化

妊娠中は、お腹の赤ちゃんへ酸素や栄養分を供給するために体内の循環血液量が著しく増加します。

このとき、液体成分である血漿(けっしょう)の増加に対して赤血球の増加が追いつかず、血液が薄まった状態(希釈された状態)になりやすくなります。

さらに、赤ちゃんや胎盤の成長に伴って鉄の需要が大きく増えるため、食事からの摂取が不足すると鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。

貧血によって脳への酸素供給が不十分になると、頭痛やめまい、立ちくらみといった症状が現れることがあります。

妊娠中期の頭痛を和らげる対処法

日常的に起こる緊張型頭痛や片頭痛であれば、生活習慣の見直しやセルフケアによって症状が緩和されるケースがあります。

頭痛のタイプに合わせて温める・冷やす

頭痛のタイプによって冷やすか温めるかの対応が異なり、誤った対応で痛みが悪化することもあるため注意が必要です。

  • 緊張型頭痛の場合首や肩を蒸しタオルで温めたり、ぬるめのお湯に浸かったりして血流を促すと、筋肉のこわばりがほぐれて痛みが和らぐことがある
  • 片頭痛の場合温めると痛みが強まることもあるため、暗く静かな場所で横になり、こめかみや首元を冷やす方法が向いているとされる

なお、入浴時は立ちくらみを防ぐため長湯や熱いお湯を避けてください。また、湯船から立ち上がる際は、急な動作を控えてゆっくり動くよう心がけましょう。

姿勢と目の疲れを見直す

デスクワークや家事などで長時間の同じ姿勢が続くと、首や肩への負荷が蓄積します。

1時間に1回程度は休憩を挟み、肩を前後に回すストレッチを行うなどして筋肉をほぐしましょう。

スマートフォンやパソコンの使用時には適度に目を休め、遠くを眺めるなどの眼精疲労対策を取り入れることが効果的です。

また、妊婦健診で主治医から特別な指導や制限を受けていなければ、ウォーキングやマタニティストレッチなどの軽い全身運動を行い、全身の血行を促進させることも頭痛予防に有効です。

ただし、適した運動量は妊娠経過により異なるため、必ず医師に相談してください。

睡眠と食事のリズムを整える

睡眠不足や極度の空腹、水分不足は自律神経や血管の状態を乱し、頭痛の引き金となります。

夜間に十分な睡眠が得られない場合は、日中に15〜30分程度の短い休息を取るなどして身体を休める時間を確保してください。

また、空腹の時間が長くなると血糖値が下がり頭痛が起こりやすくなるため、食事を抜かず、必要に応じて少量の間食をとるようにしましょう。あわせて、こまめな水分補給を意識することも大切です。

貧血傾向にある場合は、赤身の肉や魚・小松菜・大豆製品などの鉄分を多く含む食品に加え、鉄の吸収率を高めるビタミンCを一緒に摂取する食生活を意識しましょう。

カフェインの摂り方に配慮する

コーヒーや紅茶に含まれるカフェインには血管を収縮させる働きがあるため、片頭痛の場合は痛みの緩和に役立つことがあるとされています。

ただし、妊娠中は胎児への影響を考慮し、摂取量に配慮することが大切です。

200mg/1日
日本国内に明確な制限数値基準はありませんが、英国食品基準庁(FSA)などの海外機関では、妊婦のカフェイン摂取上限を1日200mg(レギュラーコーヒーでおよそ2杯分相当)までに抑えるよう提言しています。

なお、普段からカフェインを多く摂取していた方が突然摂取を完全に中断すると、離脱症状としてかえって強い頭痛が誘発される場合があるため、段階を踏んで量を減らしていきましょう。

妊娠中のカフェイン摂取の注意点については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:妊娠初期の強い眠気の原因とは?対処法やカフェイン摂取の注意点も解説

妊娠中期に頭痛薬を使うときの注意点

セルフケアを行っても頭痛が収まらず辛い場合、服薬を選択することも一つの手段ですが、妊娠中の薬の使用には成分や週数に合わせた細かな注意が必要です。

市販の頭痛薬を飲む前に産院へ相談する

医師の管理のもとで、適切に鎮痛薬を使用することは十分に可能です。

「妊娠中は絶対に薬を飲んではいけない」と思い込み、激しい痛みを無理に我慢し続ける方もいらっしゃいますが、それによる強いストレスや睡眠障害が母体に悪影響を及ぼす場合もあります。

ただし、ドラッグストア等で購入できる一般の市販頭痛薬には、妊娠中の服用に適さない成分が含まれていたり、複数の成分が配合されていたりするものが多く存在します。

自己判断で市販薬を購入・服用することは避け、必ず事前にかかりつけの産院へ相談してください。

頭痛薬の成分ごとの注意点

鎮痛薬に含まれる代表的な成分と、妊娠中における注意点は以下のとおりです。

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成分 妊娠中の考え方 注意点
アセトアミノフェン
医師と相談のうえ使用
医師の判断のもとで、妊娠中の頭痛に用いられることが多い成分。 用法・用量を守り、漫然と続けない。ほかの成分との配合薬もある。
ロキソプロフェン、イブプロフェンなど(NSAIDs)
原則使わない
妊娠中期以降の使用で、赤ちゃんの血管(動脈管)の収縮や羊水過少(赤ちゃんの腎機能への影響)が報告されている。妊娠後期はそのリスクがより高くなり、市販薬には出産予定日12週以内の服用を禁止する記載がある。 医師の特別な指示がない限り使用しない。
アスピリン
自己判断で使わない
NSAIDsの一種で、出産予定日12週以内は服用しないこととされている。 妊娠高血圧腎症の予防などで医師が処方している場合は、自己判断で中止しない。
ケトプロフェン配合の湿布・塗り薬
使用前に確認
妊娠後期は使用が禁じられている。妊娠中期も必要最小限の使用にとどめるとされている。 飲み薬でなくても、使用前に医師や薬剤師に確認する。

同じ製品ブランド名であっても、シリーズやタイプによって配合成分が異なる場合があります。

市販薬を検討する際は、製品名だけで判断せず裏面の成分表示を必ず確認し、店舗の薬剤師へ妊娠週数を明確に伝えたうえで相談をしてください。

すでに市販の頭痛薬を飲んでしまった場合

事前相談を行わずに市販の頭痛薬を服用してしまった場合でも、過度にパニックにならず、冷静に対応することが大切です。

  1. 1メモと保管まずは服用した薬の製品名・成分名・服用した日時と量をメモし、製品のパッケージや添付文書を手元に保管してください。
  2. 2産院・薬剤師へ連絡そのうえで、次回の定期健診を待つことなく、速やかにかかりつけの産院や薬剤師へ連絡して指示を仰ぎましょう。

妊娠中期に注意したい頭痛と受診の目安

妊娠中期の頭痛の多くは機能的な原因によるものですが、中には血圧異常など、母体や赤ちゃんに関わる病気のサインとして現れているケースもあります。

ここでは、見逃してはならない危険なサイン、そして受診の目安を解説します。

妊娠中期に注意したい頭痛

妊娠中期に特に警戒すべき頭痛として、血圧の上昇に伴う頭痛が挙げられます。

妊娠中に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)を認める状態を「妊娠高血圧症候群(HDP)」と呼びます。

妊娠高血圧症候群には、妊娠前から高血圧がある場合も含まれますが、妊娠中期以降は特に、妊娠20週以降に新たに高血圧を発症する「妊娠高血圧症」や「妊娠高血圧腎症」に注意が必要です。

公益社団法人 日本産科婦人科学会によると、本疾患は初期の自覚症状に乏しいものの、進行すると急なむくみ・激しい頭痛・めまい・視覚障害(目がチカチカする、見えにくい)などの症状を伴うことが知られており、厳重な管理が必要とされています。

参考:日本産科婦人科学会|妊娠高血圧症候群

すぐに産院へ連絡したい症状

以下に該当する症状が一つでも認められる場合は、夜間・休日の時間外であっても様子見をせず、すぐにかかりつけの産院へ連絡してください。

ひとつでも当てはまれば、すぐに連絡夜間・休日も様子見をしない
  • これまでに経験したことのない強い頭痛、突然の激しい頭痛
  • 目がちかちかする、見えにくい、視野が欠ける
  • 顔や手の急なむくみ、短期間での急な体重増加
  • ろれつが回りにくい、手足が動かしにくい、しびれがある
  • みぞおちや胃のあたりのいつもと違う痛み、吐き気
  • 発熱や首のこわばりを伴う頭痛
  • 家庭で測った血圧が160/110mmHg以上ある
119万が一、意識障害や意識消失、身体のけいれん発作が起きた場合は、ためらうことなく119番通報で救急車を呼んでください。

健診を待たずに産院へ相談したい症状

緊急の対応が必要な状態ではなくとも、以下の状況に当てはまる場合は、次回の定期妊婦健診を待たずに産院を受診してください。

次の健診を待たずに受診
  • 頭痛が数日続いている、だんだん強くなっている
  • 休息や対処法を試しても和らがない
  • 頭痛薬を使わないと過ごせない、使う回数が増えている
  • 仕事や家事、睡眠に支障が出ている
  • 家庭で測った血圧が140/90mmHg以上になることがある

ご自宅に家庭用血圧計がある場合は、頭痛発症時に血圧を測定・記録しておくと、診察時の重要なデータとなります。

なお、主治医から個別に数値の指示が出ている場合は、そちらに従ってください。

産院へ連絡するときに伝えたい情報

産院へ電話連絡を入れる際は、以下の項目を整理して伝えると判断しやすくなります。

電話の前に確認すること

  • 頭痛が始まった時間と続いている時間
  • 痛む場所と痛み方
  • 頭痛以外の症状(目の見え方、むくみ、吐き気など)
  • 血圧の値(自分で測定できた場合)
  • 飲んだ薬の名前、量、時間

医療機関では、緊急性を医師が判断します。

「この程度の頭痛で電話してよいのだろうか」とためらう必要はありません。疑問や異変を感じた段階で、躊躇せずに連絡をすることが大切です。

まとめ

妊娠中期の頭痛は、女性ホルモンの変化・姿勢の変化による筋肉の緊張・貧血・血圧上昇など多岐にわたる要因によって発生します。

多くのケースは生活習慣の見直しや適切なセルフケアによって和らげることができますが、自己判断による市販薬の服用や、重篤な疾患のサインを見過ごすことには大きなリスクが伴います。

薬を使用したい場合や、いつもと異なる痛み・症状を感じた際は、我慢することなく専門の医療機関へご相談ください。

いこまともみレディースクリニック産科分院では、妊娠中のマイナートラブルから高血圧等の合併症管理まで、妊婦さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を行っております。

頭痛でお悩みの方、お薬の服用に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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