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妊娠がわかってから、お腹の大きさや体調が少しずつ変わり、「この身体の変化は妊娠中によくあることなのだろうか」「この先、体調や体型はどのように変わっていくのだろう」と戸惑う妊婦さんやご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊娠中の情報や体験談は数多く存在しますが、情報量が多いために「今自分がどの時期にいて、何に気をつければよいのか」を整理しにくいことがあります。
本記事では、妊娠期間の区分と身体の変化が起こる仕組みをはじめ、妊娠初期・中期・後期それぞれの母体の変化と赤ちゃんの成長、そして早めに受診を検討したい症状の目安について分かりやすく解説します。
妊娠期間の区分と妊娠で身体が変化する要因
妊娠中の身体の変化は、時期によって現れ方や注意点が大きく異なります。
はじめに、妊娠期間の基本的な区分と、身体にさまざまな症状が起こる仕組みについて解説します。
妊娠期間は初期・中期・後期の3つに区分される
妊娠期間は、一般的に「妊娠初期」「妊娠中期」「妊娠後期」の3つの時期に区分されます。
妊娠週数は、最後に月経が始まった日を「妊娠0週0日」として数え始め、「妊娠40週0日」が出産予定日の目安となります。
- 妊娠初期妊娠15週頃までホルモン変化が急激で、つわりや眠気などが現れやすい時期
- 妊娠中期妊娠16週頃〜27週頃胎盤が完成して体調が安定しやすく、お腹や胎動が目立ち始める時期
- 妊娠後期妊娠28週頃〜赤ちゃんが大きく成長し、子宮による胃や骨盤への圧迫が強まる時期
区分の週数は医療機関や書籍によって多少前後する場合があります。
ご自身の正確な週数や時期については、妊婦健診で伝えられる週数を基準に確認していきましょう。
身体の変化を生む3つの要因
妊娠中に起こるさまざまな身体の変化や不調は、主に「ホルモン分泌の変化」「子宮の増大」「血液量と代謝の変化」という3つの大きな要素が複雑に組み合わさることで引き起こされます。
- ホルモン分泌の変化
- 子宮の増大
- 血液量と代謝の変化
ホルモン分泌の変化
妊娠が成立・継続すると、体内ではhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)・プロゲステロン(黄体ホルモン)・エストロゲン(卵胞ホルモン)といった女性ホルモンの分泌量が急増します。
これらのホルモンバランスの劇的な変化は、消化管の動きを緩やかにしたり、自律神経の働きに影響を与えたりします。
その結果、便秘や胃のむかつき、強い眠気やだるさ、乳房の張り、気分の揺れなどが起こりやすくなります。
妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」もホルモンの変化が関係しているとされていますが、その発症メカニズムのすべては未だ解明されていません。
子宮の増大
お腹の赤ちゃんの健やかな成長に伴い、子宮のサイズも急速に大きくなり、周囲にある内臓を圧迫します。
骨盤内にある膀胱を圧迫したときは、溜められる尿量が減ることから、特に妊娠初期の段階で頻尿の症状を訴える方もいらっしゃいます。
妊娠後期になると、大きく膨らんだ子宮が胃や横隔膜を下方から押し上げ、胸やけや胃もたれ、息苦しさが起こることもあります。
また、お腹が前方へせり出すことで身体の重心が変化し、姿勢を保とうとして背中や腰の筋肉に負担がかかるため、腰痛を発症しやすい点にも注意が必要です。
血液量と代謝の変化
お腹の赤ちゃんに酸素や豊富な栄養分を滞りなく届けるため、母体の循環血液量は妊娠前と比較して1.4〜1.5倍程度まで大幅に増加します。
しかし、増加する血液成分のうち、赤血球の産生が液体成分(血漿)の増加に追いつかず、血液全体が薄まった状態になりやすくなります。
その結果、鉄欠乏性貧血や動悸、息切れが起こることがあります。
さらに、妊娠中の体内では水分を保持しようとする働きが高まるため、手足や顔などにむくみが出やすくなるのも特徴です。
変化の現れ方には個人差がある
ここまで挙げた身体の変化や不調は、すべての妊婦さんに全く同じタイミングや強さで現れるわけではありません。
症状の程度や現れ方には大きな個人差があり、同じ方であっても「1人目の妊娠時と2人目の妊娠時で不調の出方が全く違った」ということは珍しくありません。
「症状が軽いから赤ちゃんの成長に問題があるのでは」「トラブルが少ないのはおかしいのでは」と不安に思う必要はありません。
母体や赤ちゃんの状態は、定期的な妊婦健診での超音波検査や問診・計測を通じて確実にご確認いただけます。
妊娠初期の身体の変化と赤ちゃんの成長(〜15週頃)
妊娠初期はお腹の見た目には大きな変化が現れにくい時期ですが、体内ではホルモン環境が劇的に変化するため、体調が揺らぎやすいという特徴があります。
妊娠初期に起こりやすい身体の変化と不調
妊娠初期(〜15週頃)には、以下のような身体の変化やマイナートラブルがよく見られます。
- 吐き気やにおいへの敏感さ、食欲の変化などのつわり
- 強い眠気やだるさ
- 乳房の張りや痛み
- おりものの増加
- 頻尿や便秘
- 軽い下腹部痛
- 気分の落ち込みやイライラ
つわりは妊娠5〜6週頃から始まり、12〜16週頃にかけて徐々に落ち着いていくケースが多く見られますが、時期や強さには個人差があります。
水分すら摂ることができない、激しい嘔吐が続いて体重が短期間で大幅に減少するといった重篤な状態は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」の可能性があるため、我慢せずに早めに産院へご相談ください。
妊娠初期症状が現れる時期については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:妊娠初期症状はいつから始まる?時期別の症状と受診のタイミング
妊娠初期の赤ちゃんの成長
妊娠4〜7週頃を中心とした時期は「器官形成期」と呼ばれ、赤ちゃんの脳・神経系・心臓・胃腸・手足といった生きていくために不可欠な重要器官が一気に形成されます。
妊娠6〜7週頃になると、産婦人科の超音波(エコー)検査によって赤ちゃんの心拍(心臓の動き)が確認できるようになることが一般的です。
妊娠8週頃からは医学的に「胎児」と呼ばれるようになり、妊娠12週頃には頭、胴体、手足の区別が超音波画像上で明確に識別できるようになります。
そして妊娠15〜16週頃には胎盤が完成し、赤ちゃんは胎盤とへその緒を通じて、母体から酸素や必要な栄養素を安定して受け取れるようになります。
妊娠初期に意識したい過ごし方
赤ちゃんの重要器官が作られる妊娠初期は、日常生活においていくつかの注意点を意識して過ごすことが大切です。
- 薬やサプリメントの服用市販薬やサプリメントを自己判断で使用することは控えましょう。持病で常用している処方薬がある場合も、自己判断で中止せず、必ず主治医や産科医にご相談ください。
- 嗜好品の影響喫煙や飲酒は胎児の発達に影響を及ぼすため、妊娠がわかった段階で速やかに控えましょう。
- 感染症・食中毒予防加熱が不十分な肉(生肉)や生魚介類、未殺菌のナチュラルチーズなどはトキソプラズマやリステリア菌感染のリスクがあるため避けましょう。
- 葉酸の摂取赤ちゃんの神経管閉鎖障害などの予防のため、食事に加えて葉酸の補給が推奨されています。摂取量や方法については医師や助産師にご確認ください。
つわりや強い眠気でつらい時期は、家事や仕事の優先順位を下げ、意識的に身体を休める時間を確保してください。
妊娠初期に気をつけたい行動については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:妊娠初期に流産しやすい行動|気をつけたいポイントと受診の目安
妊娠中期の身体の変化と赤ちゃんの成長(16〜27週頃)
妊娠中期(16〜27週頃)に入ると、つわりが落ち着いて食欲や体調が安定する方が増えてきます。
一方で、お腹の膨らみが目立ち始め、胎動を通じて赤ちゃんの存在をより身近に感じられる時期です。
妊娠中期に起こりやすい身体の変化と不調
妊娠中期には、母体の体型変化や赤ちゃんの成長に伴い、以下のような変化が現れてきます。
- お腹の膨らみが目立ち始める
- 胎動を感じ始める(初産婦さんは妊娠18〜20週頃が目安)
- お腹の張り、腰痛、こむら返り
- 貧血やむくみ
- 乳輪やお腹の正中線の色素沈着、妊娠線
皮膚が引っ張られることで生じる妊娠線については、保湿ケアや急激な体重増加を避けることが対策として挙げられますが、体質や皮膚の柔軟性も影響するため、完全に防げるとは限りません。
無理のない範囲でのケアを心がけましょう。
妊娠中期の過ごし方については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:妊娠の安定期はいつからいつまで?週数の目安と過ごし方の注意点を解説
妊娠中期の赤ちゃんの成長
妊娠中期は、赤ちゃんの骨格や筋肉が急速に発達し、身体全体が大きくなっていく時期です。
赤ちゃんの体重は妊娠中期の間に大きく増加し、妊娠後期を迎える28週頃には約1,000g前後にまで成長します。
皮膚の下には皮下脂肪がつき始め、手足を活発に曲げ伸ばしたり回したりできるようになります。
妊娠中期に意識したい過ごし方
妊娠中期は比較的体調が安定しやすい時期ですが、適切な体重管理や適度な運動を意識して過ごすことが大切です。
妊婦健診で主治医から特別な指示や制限が出ていなければ、ウォーキングやマタニティヨガ、マタニティスイミングなどの軽い運動を取り入れることが可能です。
ただし、適した運動内容や強度は妊娠経過によって異なるため、始める前に必ず医師へご相談ください。
また、つわりが明けて食欲が戻ると、急激に体重が増加しやすくなります。
妊娠中の推奨体重増加量は、妊娠前の体格(BMI)によって以下のように分類されています。
| 妊娠前のBMI | 体重増加の目安 |
|---|---|
| 18.5未満 | 12〜15kg |
| 18.5以上 25.0未満 | 10〜13kg |
| 25.0以上 30.0未満 | 7〜10kg |
| 30.0以上 | 個別に対応(上限5kgまでが目安) |
出典:日本産科婦人科学会|「妊娠中の体重増加指導の目安」(2021年)
上記の数値はあくまで一般的な指標です。
個々の体質や元々の健康状態に合わせて、健診時に医師や助産師と適切な目標を確認しながら管理することが大切です。
妊娠後期の身体の変化と赤ちゃんの成長(28週頃〜)
妊娠後期(28週頃〜分娩)は、赤ちゃんが本格的な誕生に向けて大きく育つ時期です。
増大した子宮によって母体の各種臓器が強く圧迫され、身体的な負担を感じることもあります。
妊娠後期に起こりやすい身体の変化と不調
妊娠後期には、出産に向けた準備に伴い、以下のような症状や不調が現れやすくなります。
- お腹の張りを感じる回数が増える
- 息苦しさや動悸、胃もたれや胸やけ
- 頻尿や尿もれ
- むくみ、腰痛や恥骨の痛み、こむら返り
- 寝苦しさや眠りの浅さ
- 乳房から初乳がにじむ
仰向けで横になった際に、気分が悪くなったり、冷や汗やめまいを覚えたりすることがあります。
これは、大きくなった子宮が背骨の右側を通る大静脈を圧迫して血流が滞る「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」と呼ばれる現象です。
この場合は、左側を下にした横向きの姿勢(シムスの体位)をとって休息してください。

妊娠後期の赤ちゃんの成長
妊娠後期は、赤ちゃんの体重が著しく増加するとともに、肺機能など生まれ出た後の生活に必要な器官機能が急速に成熟していきます。
多くの赤ちゃんは出産が近づくにつれて、頭を下(骨盤側)に向けた姿勢(頭位)へと落ち着いていきます。
赤ちゃんの向きや推定体重、胎盤の位置などは、毎回の妊婦健診で医師が詳細に観察・測定を行います。
妊娠後期に意識したい過ごし方と出産準備
妊娠後期は身体への負荷がピークに達するため、これまで以上に身体を労り、出産準備をしっかりとしておくことが大切です。
疲れを感じやすくなるため、日常生活の中でこまめに横になって休息をとりましょう。
塩分を控えたバランスの良い食事を心がけ、身体に負担をかけない生活リズムを維持してください。
この時期は妊婦健診の間隔も2週間に1回、さらに毎週へと短くなりますので、指定されたスケジュール通りに必ず受診を続けましょう。
また、入院に必要な準備品を早めにまとめると同時に、陣痛発来や破水が起きた際の連絡先、移動手段(陣痛タクシーの登録など)についてご家族と事前共有を行ってください。
ご家族には家事の分担や健診・両親学級への同行をお願いし、母体の負担を減らす協力体制を整えておくことが大切です。
陣痛の見分け方や病院へ行くタイミングについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:前駆陣痛から本陣痛までどのくらい?見分け方と病院に行くタイミングを解説
妊娠中に受診を検討したい症状と判断の目安
妊娠中に起こる身体の変化の多くは生理的なものですが、中には早急な医療介入が必要となる注意すべきサインも含まれています。
時期を問わず早めに産院へ連絡したい症状
以下の症状がある場合は、次回の妊婦健診を待つことなく、夜間や休日であってもかかりつけの産院へ速やかに連絡を入れて指示を仰いでください。
- 出血がある
- 水っぽいものが流れ出る感覚がある
- お腹の張りや痛みが規則的に続く、休んでも治まらない
- 強い頭痛や目のちらつき、みぞおちの痛みがある
- 顔や手に急なむくみが出る、短期間で体重が急に増える
- 発熱がある
- 水分もとれないほど嘔吐が続く
- 胎動がふだんより明らかに少ない
これらの症状が存在するからといって直ちに重篤な異常があるとは限りませんが、症状のみから原因や安全性を自己判断することは困難です。
少しでも異常を感じたら、躊躇せず産院へご相談ください。
受診すべきか迷ったときの判断の目安
体の不調を感じた際、受診すべきか、よくある変化として様子を見るべきか迷った場合は、以下の3つの観点を確認してみてください。
- 1現在の妊娠週数・時期において典型的に起こりやすい症状か
- 2症状の強さや頻度が急激に増悪していないか
- 3単一の症状だけでなく、複数の不調(例:頭痛とむくみなど)が同時に重なっていないか
これらがいずれかに当てはまる場合や、判断に少しでも迷いが生じる場合は、ためらわずに産院へお問い合わせください。
連絡を入れる際は、「いつから始まったか」「どのような症状か」「どのように変化しているか」の3点をメモして伝えると、受付や医療スタッフによる判断が非常にスムーズになります。
まとめ
妊娠中の身体の変化は、ホルモンバランスの変動や子宮の増大、循環血液量の増加などによって引き起こされる自然な現象です。
しかし、妊娠初期・中期・後期の時期ごとに注意すべきポイントや現れる症状は異なり、個人差も大きいものです。
ご自身の身体の変化や赤ちゃんの成長について不安なこと、気になる症状がございましたら、決して一人で抱え込まず専門の産婦人科へご相談ください。
いこまともみレディースクリニック産科分院では、妊娠初期のマイナートラブルから妊娠後期の身体の負担、出産に向けた準備まで、妊婦さんとご家族が安心して周産期を過ごせるよう手厚い医療サポートを行っております。
小さな疑問や体調の変化でも、どうぞお気軽にご相談ください。
