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2026.11.03 BLOG
妊娠中におしりが痛い原因と対処法|受診の目安も解説

妊娠中にお腹が大きくなるにつれて、座る・歩く・寝返りを打つ・排便するといった何気ない動作のたびにおしりが痛み、つらさを抱えている妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

おしりの痛みは骨盤・神経・肛門まわりなど原因が複数考えられるため、ネットの情報だけでは自分の痛みがどれに当たるのか判断しにくいものです。

本記事では、妊娠中におしりが痛くなる主な原因と赤ちゃんへの影響、自宅でできる対処法、薬を使うときの注意点、健診を待たずに相談したい症状について解説します。

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妊娠中におしりが痛くなる主な原因

妊娠中のおしりの痛みは、「おしりの奥や付け根から太ももの裏へ響く痛み」と「肛門周辺の痛み」に分けて考えると、原因の見当がつけやすくなります。

まずは、代表的な3つの原因をご紹介します。

おしりの奥や付け根から
太ももの裏へ響く痛み
肛門周辺の痛み

骨盤まわりの関節への負担

妊娠中は、出産に備えて分泌されるリラキシンなどのホルモンの影響で、骨盤まわりの靭帯がゆるみやすくなります。

その結果、骨盤の後ろ側にある「仙腸関節」が不安定になりやすいとされています。

さらに、お腹が前に大きくなることで重心が変わり、体重も少しずつ増えていくことから、骨盤やおしりの筋肉に負担がかかりやすくなります。

痛みの出方

痛みの出方として多いのは、おしりの奥や片側の付け根が痛む、立ち上がりや寝返り、階段の昇り降りで痛みが強くなるといったケースです。

妊娠初期から痛む方もいらっしゃるなど、現れる時期や程度には個人差があり、感じ方は人それぞれです。

安定期に起こりやすい身体の変化については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:妊娠の安定期はいつからいつまで?週数の目安と過ごし方の注意点を解説

坐骨神経痛

  1. おしりの奥
  2. 太ももの裏
  3. ふくらはぎ
  4. 足先

坐骨神経は、おしりの奥から太ももの裏を通り、足先まで伸びている太い神経です。

この神経の通り道に沿って、おしりから太ももの裏、ふくらはぎへ響くような痛みやしびれが出る状態を「坐骨神経痛」と呼びます。

坐骨神経痛は神経が圧迫・刺激されることで起こるほか、椎間板ヘルニアなどの病気が原因となる場合もあります。

原因の確認には、妊娠による姿勢や身体への負担の変化も踏まえた医師の診察が欠かせません。

見分ける目安

骨盤まわりの痛みと見分ける目安のひとつは、「痛みやしびれが脚へ響くかどうか」です。

しびれが強い場合や脚に力が入りにくい場合は、自己流のストレッチをしたり様子見をしたりせず、産婦人科または整形外科の医師へご相談ください。

便秘と痔

妊娠中に便秘が起こりやすい理由のひとつが、妊娠を維持するホルモン(プロゲステロン)の影響による腸の動きの低下です。

大きくなった子宮が腸を圧迫することも加わり、便が腸に滞りやすくなります。

こうして溜まった便は水分を失って硬くなりますが、これを強くいきんで出そうとしたり、子宮による圧迫で肛門まわりの血流が滞ったりして起こるのが「痔」です。

いぼ痔(痔核)
肛門の血管がふくらむ
切れ痔(裂肛)
硬い便で肛門が切れる

代表的なものには、肛門の血管がふくらむ「いぼ痔(痔核)」や、硬い便で肛門が切れる「切れ痔(裂肛)」などがあり、腫れや排便時の痛み、出血といった症状が見られます。

肛門の症状は人に相談しにくいものですが、妊娠中にはよく見られる変化のひとつで、決して珍しいことではありません。

気になる症状があれば、健診の際に遠慮なく医師や助産師へ伝えてみてくださいね。

妊娠中のおしりの痛みと赤ちゃんへの影響

痛みが続くと、お腹の赤ちゃんへの影響が気になる方も多いのではないでしょうか。

続いて、赤ちゃんへの影響の考え方と、痛みを我慢せずに相談することの大切さについて解説します。

骨盤まわりの痛みが赤ちゃんに直接影響するわけではない

妊娠に伴う骨盤まわりの痛みそのものが、赤ちゃんに悪影響を与えるわけではありません。

ただし、おしりの痛み全般を「問題ない」と言い切ることは危険です。

痛む場所だけでは原因や妊娠への影響を判断できないため、痛みが続く場合や不安が拭えない場合は、医療機関を受診してください。

参考:RCOG|「Pelvic girdle pain and pregnancy」

生活に支障が出る痛みは我慢しない

眠れない、歩く・座る動作がつらいなど、日常生活に支障が出ているときは、次の健診を待たずにご相談ください。

痛みの程度や原因に合わせて、医師や助産師が対処法を一緒に考えます。

肛門の痛みがある場合は、便意の我慢に注意が必要です。

  1. 便意を我慢
  2. 便秘が悪化
  3. さらに痛みが強くなる
悪循環

排便時の痛みを避けようと便意を我慢すると、便秘が悪化し、さらに痛みが強くなる悪循環につながることがあります。

お腹の張りや出血を伴う場合は早めに連絡する

おしりの痛みがあるときは、妊娠中によくある不調と決めつけず、ほかに症状が出ていないかもあわせて確認することが大切です。

  • お腹の張り
  • 性器からの出血
  • 発熱
  • 脚のしびれ

とくに、お腹の張り、性器からの出血、発熱、脚のしびれなどを伴う場合は、「よくある痛み」として様子を見るのは避けてください。

具体的な目安は、この後ご紹介する「妊娠中のおしりの痛みで受診する目安」の章で詳しく取り上げています。

気になる症状があるときは、迷わずかかりつけの産婦人科へ連絡してください。

おしりの痛みを和らげるために自宅でできる対処法

おしりの痛みは、日々の姿勢や生活習慣を見直すことで負担を減らせる場合があります。

続いては、自宅で取り入れやすい工夫をご紹介します。

座り方と立ち上がり方を見直す

同じ姿勢を長く続けると、骨盤やおしりへの負担が一か所に集中しがちです。

痛みや体調に合わせてこまめに姿勢を変え、休憩をとるよう意識しましょう。

座るときは、クッションなどで座面の硬さや圧迫を調整し、楽に座れる姿勢を探すのもひとつの方法です。

  1. いったん浅く座り直す
  2. 両手で机や太ももを支える
  3. ゆっくり動く

立ち上がる際は、いったん浅く座り直してから、両手で机や太ももを支えてゆっくり動くと、骨盤への負担を抑えやすくなります。

仕事で座りっぱなしや立ちっぱなしがつらい場合は、職場へ状況を伝え、休憩の取り方などを相談することも検討してみてください。

寝る姿勢と寝返りの工夫

お腹が大きくなると、仰向けで寝ることがつらくなる場合があります。

寝る姿勢

横向きになり、膝の間やお腹の下にクッションを挟む姿勢は、骨盤への負担を減らす工夫のひとつです。

寝返り

寝返りを打つときは、膝を曲げたまま、肩と腰を同時に動かすように体ごと向きを変えると、骨盤のねじれを抑えやすくなります。

ただし、楽に感じる姿勢には個人差があります。

「この向きでなければいけない」と決めつけず、自分がつらくない姿勢を探すことが大切です。

身体を温めて血流を保つ

湯船に浸かっておしりや腰まわりを温めると、筋肉のこわばりや肛門まわりの血流の滞りが和らぐ場合があります。

一方で、熱すぎるお湯や長湯は、のぼせや立ちくらみにつながることもあるので、ぬるめのお湯で短めに入浴し、浴室での転倒にも気をつけてください。

また、肛門の腫れや熱感が強い場合や、患部が赤くなっている場合は注意が必要です。

自己判断で温めず、温めてよいかどうかを事前に医師へ確認しておくと、迷わず対処できます。

便通を整えて肛門への負担を減らす

肛門まわりの痛みを和らげるうえで基本になるのが、便秘を防いで排便時の負担を減らすことです。

日常で意識したいポイントは以下のとおりです。

  • こまめに水分をとる
  • 野菜、海藻、きのこ、豆類など食物繊維を含む食品を取り入れる
  • 朝食をとり、腸が動くきっかけをつくる
  • 便意を感じたら我慢せずトイレへ行く
  • 強くいきみすぎず、トイレに長時間座り続けない
排便後のケア

排便後のケアも、肛門への負担を左右するポイントです。

温水洗浄便座を弱い水圧で使う、やわらかい紙で押さえるように拭くなど、肛門をこすりすぎない工夫を取り入れてみてください。

骨盤ベルトや運動は医師に確認してから取り入れる

骨盤ベルトは、骨盤まわりを支えて痛みを和らげるために用いられることがあります。

ただし、運動やベルトの使用が適しているかどうかは、妊娠の経過や痛みの原因によって異なります。

取り入れる前に医師や助産師へ相談し、使い方を確認しておくことが大切です。

運動を認められた場合も無理のない範囲に留め、痛みやお腹の張りが出たら中止してください。

強いしびれがあるときや安静の指示が出ているときは、自己流のストレッチやマッサージは控えましょう。

自分に合うケアの方法が分からないときは、健診の際に医師や助産師へ気軽に相談してみてくださいね。

妊娠中のおしりの痛みに市販薬を使うときの注意点

痛みがつらいと、手元にある湿布や市販薬を使いたくなりますが、使用時にはいくつかの注意点を押さえておくことが大切です。

妊娠中に薬を使う際に知っておきたい考え方について、湿布・痛み止めと便秘薬・痔の薬に分けて確認していきます。

湿布や痛み止めを自己判断で使わない

市販の湿布や痛み止めのなかには、妊娠中、とくに妊娠後期には使用を避けるよう注意喚起されている成分や、禁忌とされている成分を含むものがあります。

湿布などの貼り薬

湿布などの貼り薬も、皮膚から成分が体内へ吸収される薬です。そのため、「飲み薬ではないから大丈夫」とは限りません。

妊娠前から使っていたものであっても、自己判断での使用は控えましょう。

痛みが強く日常生活に支障が出ている場合は、妊娠週数や体の状態に合わせて、使用できる薬を医師が判断します。我慢しすぎず、まずはご相談ください。

便秘薬や痔の薬は医師に相談して選ぶ

便秘薬や痔の薬は、妊娠週数や症状によって適した種類や使い方が異なります。

市販薬や浣腸を使う前には医師や薬剤師へ確認し、処方薬は指示どおりに使用することが大切です。

妊娠中でも使用できる薬はあります。薬への不安から症状を我慢し続けるよりも、まずは相談して選択肢を知ることが、つらさを和らげる第一歩です。

また、薬の効き方や合う・合わないには個人差があります。

処方された薬を使っても症状が続く場合や気になる変化が出た場合は、早めに医師へ伝えてください。

妊娠中のおしりの痛みで受診する目安

おしりの痛みの多くは妊娠に伴う変化によるものですが、なかには早めの対応が望ましい症状もあります。

続いては、相談したいサインと、受診先の考え方を解説します。

早めに産婦人科へ連絡したい症状

次の健診を待たずに、かかりつけの産婦人科へ連絡したい症状は以下のとおりです。

  • お腹の張りや痛みが規則的に繰り返す
  • おしりや腰の痛みが、一定の間隔で強くなったり弱くなったりする
  • 性器からの出血がある
  • 水っぽいものが流れ出る感覚がある
  • どの姿勢をとっても楽にならない強い痛みがある
  • 発熱を伴う
子宮の収縮

子宮の収縮は、お腹の痛みではなく、おしりや腰の痛みとして感じられる場合もあります。

周期的に繰り返す痛みは「いつもの痛み」と自己判断せずに医師へ伝えてください。

これらの症状があっても、必ずしも重大な異常が起きているとは限りませんが、症状だけで原因を見分けるのは難しいものです。

まずは電話で状況を伝え、受診が必要かどうかは医師の判断に委ねましょう。

妊娠後期の周期的な痛みの見分け方については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:前駆陣痛から本陣痛までどのくらい?見分け方と病院に行くタイミングを解説

脚のしびれ・筋力低下や排尿・排便の異常があるとき

脚のしびれが強くなる、力が入りにくいといった症状がある場合は、自己流の対処を続けず、速やかに医師へ相談することが大切です。

注意したい症状は以下のとおりです。

  • 脚のしびれが強くなっている、両脚にしびれが出ている
  • 脚に力が入りにくい、つまずきやすくなった
  • 新たに尿が出にくくなる、尿や便をもらす、肛門や股のまわりの感覚が鈍くなる

なかでも、急な排尿・排便の異常、肛門や股のまわりの感覚低下、両脚の強いしびれ・筋力低下は、緊急の評価が必要な場合があります。

こうした症状に気づいたら、直ちにかかりつけの産婦人科へ連絡し、状況を伝えてください。

妊娠中の身体状況を把握したうえで、緊急受診の手配や整形外科などの専門科と連携した迅速な対応が受けられます。

肛門の腫れや出血が続くとき

肛門まわりの症状で、我慢せずに相談したいケースは以下のとおりです。

  • 肛門が急に腫れて強く痛む
  • 排便のたびに出血する、出血が続いている
  • 肛門まわりが赤く腫れて熱をもっている、膿が出る、発熱がある
  • ふらつきや息切れなど、貧血のような症状がある

痔だと思っていても、なかには膿がたまる病気など、別の治療が必要な肛門の病気が含まれている場合があります。

また、出血が続くと貧血につながるリスクもあるため注意が必要です。

出血が肛門からなのか性器からなのか分からない場合も、迷わず産婦人科へご連絡ください。

何科に相談すればよいか迷ったとき

かかりつけの
産婦人科

妊娠中のおしりの痛みは、まず妊婦健診を受けているかかりつけの産婦人科へ相談することが大切です。

妊娠の経過を把握している医療機関であれば、妊娠週数に合わせた対処や薬の選択を検討しやすくなります。

痔や便秘は多くの妊婦が経験するマイナートラブルで、産婦人科でもよく寄せられる相談のひとつです。

肛門の症状を伝えることに抵抗を感じる方も、遠慮せずに相談してみてください。

まとめ

妊娠中のおしりの痛みには、骨盤まわりの関節への負担、坐骨神経痛、便秘や痔など、いくつかの原因が考えられます。

痛む場所や痛み方によって対処法が異なるため、ひとりで原因を決めつけないことが大切です。

押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 骨盤まわりの痛みそのものが赤ちゃんに直接影響するわけではないとされるが、痛みが続く場合は医師へ相談する
  • 座り方や寝る姿勢、入浴、便通の工夫で負担を減らせる場合がある
  • 湿布や痛み止め、便秘薬、痔の薬は自己判断で使わず、医師に相談して選ぶ
  • お腹の張りや出血、脚のしびれ、排尿・排便の異常などがあれば、健診を待たずに連絡する

痛みの感じ方や適した対処法には個人差があります。

つらさを我慢し続けず、妊娠の経過を知る医師や助産師と一緒に向き合っていくことも、安心して出産を迎える準備のひとつです。

いこまともみレディースクリニック産科分院では、妊娠中のからだの不調について、医師・助産師にご相談いただけます。

おしりや肛門まわりの痛みのように人に話しにくい症状も、妊娠中によくある悩みのひとつです。

気になる症状があるときは、健診の際やお電話で、どうぞお気軽にご相談ください。

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